ここ数年の厚生労働省「人口動態統計」によると、我が国の死亡原因の約3割を占めるのは“悪性新生物による死亡”いわゆる癌による死亡でした。ところその一方で、交通事故による死亡は、総数のおよそ1%足らずです。
数字だけで見れば、不慮の交通事故で亡くなる確率は、さほど高くないとお感じになる方も居られるかもしれませんね。ところが、警察庁交通局の『平成23年中の交通事故発生状況』によれば、平成23年の1年間で、国内で発生した交通事故は69万1,937件、死亡及び重軽傷を合わせた死傷者数は85万9,105人にも上りました。
近年、交通事故は減少傾向にあると言いますが、加害者・被害者によらず、死亡には至らなくとも、体と心に癒えない傷を負うだけでなく、財産までもが失われる結果になる事が少なくありません。加害者は、交通事故の被害者が被った損害に対して道徳上の責任だけでなく、民事上の賠償責任を負わなければなりませんから、そうなれば将来に亘って莫大な経済的リスクが発生する可能性があるのです。ここでは、自動車保険に加入していれば回避できるリスクについて考えます。
考察の方法は「高額賠償判決が下りたケース」から推測してみましょう。
※1 記載方法 被害者(性別・年齢・職業)/事故発生日時/被害態様/認定総損害額
※2 記載方法 被害物件/事故発生日時/認定総損害額
◎ 人身事故のケース ※1
ケース1】 男性・29歳・会社員 / 平成10年05月 / 高度後遺障害 / 3億8281万円
ケース2】 男性・23歳・会社員 / 平成14年12月 / 高度後遺障害 / 3億7886万円
ケース3】 男性・38歳・開業医 / 平成14年11月 / 死 亡 / 3億6750万円
人身事故の場合だと、強制保険(自動車損害賠償責任保険)から保険金(死亡・3000万円限度、後遺障害・4000万円限度)が支払われます。強制保険の賠償金と被害者の過失分を差し引いても、まだ億単位の賠償額を負担することになったとしたら。とてもじゃありませんが、一般人の財力で賄いきれる金額ではありません。
◎ 物損事故のケース ※2
ケース1】 積 荷 / 昭和60年05月 / 2億6135万円
ケース2】 店舗(パチンコ店) / 平成03年02月 / 1億3580万円
ケース3】 電車・線路・家屋 / 昭和50年03月 / 1億2036万円
物損事故の場合、強制保険の対象外なので、自動車保険に未加入の場合は、損害賠償の請求は全て加害者が自費負担しなければなりません。自動車保険の対物賠償保険に加入していても、限度額を2000万円などに設定してあった場合は、限度額を超えた分の賠償が自費負担となります。上記のような事態になれば焼石に水ですね・・・。
このように人身事故・物損事故の賠償額は、高額化の傾向が顕著になっていることから“だけ”でも、自動車保険への加入が必須であることが、ご理解頂けると思います。
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