| 本展は、作家自身による手作りの自主企画展です。開催に当たっては主に所沢市在住の美術家が中心となっていますが、「表現者の原点に立ち還って自ら表現活動のできる場をつくる」という展覧会の主旨に賛同を得た多くの共鳴者と共に行われる美術展です。100年に1度の不況と言われている今、表現者といえども、刻々とかわる時代状況や美術思潮の変遷から無縁であるわけもなく、現在こそまさに、表現の純度、表現の強度を保つことの困難な時代状況にあるという認識に立ち、シンプルで身近な展覧会を希求しようとするものです。バブル期以降の美術をめぐる経済の肥大と衰弱という経済依存の波の中で、多くの美術家や美術館員そして美術批評家が指針を見失っていったことは否めません。更に、その自己崩壊ともいうべき混沌の中で、美術思想は衰弱し、一握りの美術作品の極端な商品化、コマーシャル化、娯楽化が進行していったことは周知の通りです。美術が今取り戻さなければならないのは、単に自己表現するという表層の快楽ではなく、精神活動として深層における感性の快楽の回復だと考えます。今こそ私たちはそれを表出しうる場は、美術館でも、コマーシャル・ギャラリーでも、美術雑誌でもなく、美術家や執筆者自身の行動の中にこそ求めるべきだと考えるのです。その結果、本展は次のような性格を持つに至りました。
作家主導であること。
展覧会テーマを設けないこと。
作品の形体、形式、思想を限定しないこと。
出品者の人選は、可能な限りゆるやかであること。
美術家のみならず、執筆者も同じ地平の表現者として参加願うこと。
次世代が育つ現場であること。
本展は、こうしたゆるやかな枠組みのなかにも現れ出る幽かな通奏低音にこそ、耳をすますべき≪何か≫が在ると考えます。このような経過の下、私たちは昨年、所沢ビエンナーレ・プレ美術展「引込線」を開催し17日間という短い会期にも関わらず5千人近い入場者があったことは、美術展の在り方に対して一石を投じることができたのではないかと思っています。この展覧会は、2年ごとに、役員、参加者、展覧会コンセプトを刷新していく内部機構を、あらかじめ設定し包摂していますが、今年(2009年)は、第1回所沢ビエンナーレ美術展「引込線」として、昨年よりも展示空間を拡大して新たな参加者を加え、より一層充実した展覧会を目指します。美術家はもとより批評家、美術館員、学者、思想家、他の美術を構成するすべての成員に、同じ地平で参加していただき「表現の現場」としての展覧会とともに、会期終了後には作品の記録と批評誌の機能を合わせ持つカタログを出版いたします。そうした意味も含めて、この展覧会の「引込線」というタイトルには、美術に関心をもつ全ての人々の覚醒した意志を引き込む、吸引力のある磁場をつくり出したいという意図が込められています。

所沢ビエンナーレ実行委員会
実行委員長:中山正樹
副実行委員長:遠藤利克、戸谷成雄
実行委員:伊藤誠、高見澤文雄、建畠朔弥、多和圭三
ロゴデザイン・印刷物デザイン:大石一義
広報:坂上しのぶ、保谷香織
ウェブデザイン:飯田めぐみ(META STUDIO Ltd.)
会計:戸谷たみ子
監査:椎名節、前山裕司

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